みなさまこんにちは!広報・色・デザイン担当の、のぞさんです。
突然ですが、開放感のあるおしゃれな階段といえば!
そうです。オープン階段です。デザイン性もあって、空間を広くみせることができるイメージが強いのではないでしょうか。
でも、私が思っていたオープン階段と、本当の(?)オープン階段は少し定義が違ったんです。そんなこんなも含めて、オープン階段の定義から事例
にまつわる小話まで一気にご紹介していきたいと思います!
それでは、どうぞ〜!
そもそもオープン階段とは
【階段クイズ】上の黒い階段と白い階段、どちらがオープン階段でしょうか。
えっ。どちらか?!どっちもオープン階段だと思ってた、、というお声が聞こえてきそうです。何を隠そう私も両方オープン階段だと思っていました。
どこがオープンなのかによる
正解は、黒い階段です。両者の一番の違いは蹴込み板があるかどうか。
蹴込み板(けこみいた)とは、踏み板と踏み板のあいだにある垂直の板のこと。階段をのぼるとき、階段の向こう側が見えるのがオープン階段です。
・オープン階段
・スケルトン階段
・ストリップ階段
・シースルー階段
この4つ、実は同じ階段なんですね。
じゃあ白い階段はなんと呼ぶのか!雰囲気はオープンやん。って聞いてみたところ、「普通の階段。壁(もしくは腰壁)がないタイプの普通の階段やで。」との回答。ふ、ふつうの階段か。。
*2024.11.19追記→よくよく考えたらこのタイプは「ひな段階段」と呼ばれています。普通の階段ってなんやねん!”ひな段階段”というワードを日々使いすぎて、普通の階段になってしまっていました。訂正してお詫びいたします。
要は伝わればいいのでは
アイアン手すりを屋内でも見かけるようになって、オープン階段という言葉もよく聞くようになりました。そのころから、”壁や腰壁がない、階段が横から見えるかたちのもの”(上でいう白い階段)も含めて、オープン階段と呼ばれはじめたように感じます。
が、大切なのはイメージと実物が一致することであって、個人的には伝わるなら呼び名はこだわらなくてもよいのではと思っています^^
オープン階段ならではの注意点
さて、ここからは施工に関するお話です。
まずはビスの長さ。
一般的な踏み板の厚み36mm前後 + はな工房の留め具の厚み4.5mm = 40.5mm
ここへビス留めするとき、40mmのビスではギリギリすぎて座堀(ざぼり)の加減で突き抜ける恐れがあります。そのため35mmのビスを使用するのですが、、、
手すりの強度というか横揺れの度合いに、ビスの長さと設置面の素材が関わってくるんです。
*補足* 蹴込み板がある階段の踏み板には50~70mmのビスを使っています
補強をして強度と安心感を
いくら手すりを頑丈に製作できたとしても、取り付ける側が柔らかい素材ではどうしようもありません。注意すべきは踏み板の材質です。
おすすめは無垢材・集成材・積層材などですが、MDF複合合板も踏み板に使われていることがあり、9段以上の手すりの場合はこれからご紹介する方法での補強をおすすめしています。
※MDF複合合板とは、砕いた木材などを板状にしたMDFと呼ばれるものを合板やシートと重ねたものです。MDF複合合板がダメというわけではなく、どんな素材にも長所短所があってその場所に採用されているので、それぞれの特性をしっかり把握して対策していきましょうというお話です。
【補強例1】 フレ止め加工
スチール手摺の柱を次の段の側面に当ててビスで固定する方法です。
はな工房では《フレ止め加工》と呼んでいます。
直階段のオープン階段でよくご提案しています。これだけでかなり横揺れが軽減するので、段数の多い、長い手すりを設置するときにオススメです!
【補強例2】留め具加工(柱留め)
こちらは、笠木(握る部分)を伸ばして柱など踏み板以外に固定する方法です。はな工房では《留め具加工》と呼んでいます。階段のスタート位置に柱があるとき限定ではありますが、強度面はバッチリです!
【補強例3】留め具加工(ササラ留め)
養生で少し見えづらいですが、階段の吹き抜け側にササラ(側板)があるケースでは、踏み板とその側面にこの方法で補強をとります。はな工房ではこの補強も《留め具加工》の一種としています。*もちろんササラ自体の幅があればササラの上にアイアン手すりを取り付けることもあります。
*施工小話*
上の写真のケースでは、階段の有効幅がポイントでした。建築基準法では階段の有効幅は75cm以上と定められています。ササラの上面に手すりを取り付ける方法も検討しましたが、お客様が踏み板への取り付けを希望されたことと、有効幅をクリアできていたことで写真のようになったのでした。
【補強例4】天井留め
階段が途中で天井と干渉する場合には、笠木(握る部分)をそのまま天井へ固定します。はな工房では《天井留め加工》と呼んでいます。
この方法はオープン階段でなくても採用される方法で、天井に固定できれば他の補強がなくても安定感がアップします。天井高にもよりますが、10段くらいまでで天井にあたることが多いです。*踏み板は11~12段くらいまで見えたりします。
【補強例5】内壁止め
さいごは少し特殊な方法です。直階段+階段吹き抜けの空間で、お客様からのご希望もあり壁の内側に階段手すりを設置、2階の吹き抜け手すりとジョイントさせる方法をとりました。
11段分の階段用手すりの強度を少しでもあげるため、6段目あたりの壁へ留め具をつけて固定しています。そのため、階段の昇りはじめであるスタート部分の柱(3段目スタート)はフレ留め加工なしで、2段目に近い位置に踏み板固定できました。
*写真では見えていませんが2階の吹き抜け手すりはL字型なので、階段手すりとお互いに補強しあう形状になっています。
手すりの高さもそれぞれに合わせて
一般的に、手すりの高さの標準は75〜90cmだと言われています。
はな工房では階段の種類や間取り、手すりのデザインによってご提案内容を変化させています。落下を心配される方、場所的に安全面の優先度は低めなのでとデザインを優先とされる方などさまざまで、高ければ高い方がいいかというとそうでもなく、逆に強度が落ちて振れが大きくなることもあります。
私個人の意見ですが、たとえばオープン階段で補強がうまく取れそうにない状況下では、80cmくらいが良いと考えています。(あくまでも個人的な意見です)ほかの記事にも詳しくまとめていますので、よければご覧ください!
オープン階段いろいろ
2枚とも2Fから3Fへ上がる階段手すりで、2階の吹き抜けも共通しています!両方ともに設置場所の状況を考えて補強をしています。
内壁になる部分にアイアン手すりを設置したオープン階段!特に折り返し階段は有効幅がギリギリでした。
5段と7段の短いオープン階段。ささらが踏み板側に露出しているため、留め具位置は少し工夫しました。
やっぱりおしゃれさが魅力!
手すり工房ならではの目線でここまでまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。
13段分のスチールフラットバー手すりで約40kg。小柄な大人くらいの重さです。外れて落下したとなれば大怪我では済まないかもしれません。お洒落だから、だけではなく安心も一緒に得られるような、お客様それぞれに合わせたベストな手すりを設置できますように。
疑問やご相談はいつでもお気軽にご連絡ください。
私たちでお役にたてることがあれば幸いです。
*追記* はな工房の自宅は6段のオープン階段になっています♪タケさんが小さい頃は階段下を隠れ家に遊んでいたそうですよ〜。