吹抜け部の手すりは大きく分けて、両壁・片側壁の2つに分けられます。
【両壁】
両壁の場合は見ての通り左右の壁と足元も固定されるため、比較的長い手すりでもしっかりと取りつきます。
【片側壁】
片側壁の場合は、やはり壁がない方は横の支えがなくぐらつきが出てきます。特にこのような階段吹き抜け部に多く見られます。
この他にももっと長いものや短いもの、コの字型やZ型、階段用の手すりとセットになったもの等様々です。基本的にアイアン手摺を使用しない場合は壁になる事が多いので、開放感をとりたい方にはアイアン手すりがもっとも適していると言えます。今回は取り付け後に「失敗した!」と言う事にならないよう、吹き抜けにアイアン手すりを使用する場合の補強ポイントを紹介していきます。
はな工房が考える補強ポイントは4つあります。
① 下地と木の材質
② 高さ
③ 柱をたてる
④ 補強バットレス
この4点をご説明いたします。
① 下地と木の材質
この写真は吹き抜け部のフローリングが貼られる前の写真!奥の柱部分の半分から右には合板が貼られていますが、左側には貼られていません。手すりは基本的には柱センターに取り付ける事が多いため、左側にはフローリングと梁の間に隙間ができてしまうんです。これは合板の種類によってどうしても仕方がないのです。(現場によってはきちんと貼られている現場も多くあります。)
『少し詳しくご説明すると、現場の多くはフローリングの上に笠木をポンとのせて壁は石膏ボードで蓋をしてしまい、クロスでキレイに仕上げる為埋め木をする必要性はないからなんです。』
よく現場で「長いビスを使って!」と仰る方がおられますが、隙間が空いていればそれだけ強度はよわくなりぐらつきの原因となるので、この部分にはしっかりと埋め木をしてもらうようにしましょう!
さらに木の種類も注意して頂きたい。仮にパイン材等の集成材など柔らかいものは、やはり効きが悪い。。これは何度も経験があるので、一般的なコンパネや合板を貼って頂けると良いと思います。※数年前にW3000の手摺で、片側と足元固定でぐらつきがほとんどなかった経験があります。お話しを聞き下地の問題だとわかりました。
上記2枚はシンプルなフラットバー手すりとは異なり、装飾を施しているため重量もかなりの重さです。右はおおよそ100キロ以上あります。両壁固定出来ても、重量がある場合は下地補強は必ず必要になります。
② 高さ
多くはFLよりH1100で制作することが多いのですが、高さが高ければ高いほどフレは大きくなり、高さが低くなればなるほどフレは弱まります。
FLより低く設定しても完了検査に問題なければよいのですが、大抵の場合H1100必要という事が多い。そんな場合、足元を低い腰壁のような形でふかして手すり自体の高さを低くする方法もあります。
写真のように低くてもお客様の好みであれば良いのですが、デザインによっては低いとかなり見た目が変わってしまう場合があるので、しっかりと検討下さい。
③ 柱をたてる
この方法もよくあるパターンです。写真とは少し異なりますが、階段吹き抜けの場合の登り口に柱をたてて両壁にしてしまう方法です。
こちらも同じく見た目の問題がある為、デザインを見直す必要がありますが、特に長い吹き抜けの場合は有効だと考えています。
こちらは両サイドが階段で壁がなく、真ん中に柱を入れて強度を上げたパターンです。今回の内容とは少し違うかもしれませんが、参考にご覧ください。
④ 補強バットレス
最後にバットレス。この方法は一番よく使う方法です。いわゆる【横の補強柱】です。
フレを止める一番効果的なものは横から支える!なんです。当たり前ですが、一番効果的な方法です。ただ見た目の好みや有効幅、壁の下地補強をする必要があるので、この方法でも色々と考え事前に準備する必要があります。
左は奥がL字で曲がっているので端に補強はいりませんが、4メートルを超える長い吹き抜け手すりということと足元の下地に隙間がある場合だった為、吹き抜け側に突き出す形のバットレス補強を入れました。
右は片側固定で足元に埋め木はしてもらっていますが、3メートルを超えることと出来るだけフレを無くしたい!と考え逆L字型のバットレスを2本入れました。
右の写真で気になるところは有効幅!今回は足元がフローリング仕上げという事で、可能な限り階段吹抜け側によせて取り付ける事が出来たので、有効幅は769㎜とれています。
状況に合わせて大きさを変えたり、難しい場合のアドバイスも行っておりますが、後からつけるものには全て調査・下準備が必要だとお考えください。
最後に
このようなオープン階段〜吹き抜け手すりの場合は、階段用のアイアン手すりが補強の代わりになってくれる為グラつきを抑えてくれます。
様々なパターンで様々な下地や補強方法。アイアンに限らず重量物や力がかかるものなど取り付けられる場合はご注意ください。
追記〜「これは安全性に関わる問題です!手すりがぐらつくから製品問題!ではなく下地の問題もあることを覚えておいてくださいね。」