回り階段 や かね折れ階段(L字) にアイアン手摺を使用する場合、はな工房が重視しているポイントは【手すり高】です。せっかくアイアン手すりにするのだから、アイアンにした満足感だけでなくより美しく・安全でなければ意味がないと思っています。(今回は階段につける階段用アイアン手すりに特化して書きます。)
まず初めにはな工房が思う手すり高とは
- それほど長くない手すり(1〜8段程度)H750〜850
- 長い手すり(9〜14段程度)H800〜900
大まかに分けるとこのようなサイズで制作することが多いです。ただ、これには階段の種類によっての設置場所(例えば:天井に当たる・はじめの3段で90度曲がってからまっすぐ・踊り場を含む等々)で寸法を変えることがあるので、あくまで一般的な目安とお考えください。
今日はその【踊り場を含む・回り階段を含む】階段用のアイアン手すり高さの説明です。
この2つの展開図がありますが、【左:1〜4段+5段目が踊り場】【右:1〜4段+5・6段が回り階段】
まず最初に考える所は、
《左:踊り場の手すりの高さ・右:回り階段の手すりの高さ》を基準に考えていきます。特に注目すべき点はアイアン手摺以降の6段目〜や7段目〜から壁用の手摺が取り付く場合に、高さを合わせると流れが出来て美しいと言うことです。ここに関してはあらかじめ工務店との相談が必須になってくるので壁用の手すりの取付が終わる前に相談することをおすすめします。
壁用手すりと高さを合わせることは美しさの観点ですが、安全性を考えると【5段目に踊り場の場合はH800〜】【5・6が回り階段の場合はH780〜】が必要だと考えます。
では詳しくご説明します。
踊り場手すり高について
基本的に何段目が踊り場か?がポイントになってくると思います。5段前後が踊り場の場合にはそれほど体感的に恐怖心が薄いためそれほど高さは必要がなく、逆に高くすると圧迫感や1〜4段の高さとの差が大きくなるため美しく滑らかにアイアン手すりにならないからです。【H800〜900が非常に多いです。】
ですが、上記のように階段の途中に踊り場がある場合は別です。落下の危険がより高まるためH1000程度で制作することが多くなります。 H800〜H1000という20㎝の差はかなり大きいもので、実際に落下する!怖い!と言う気持ちがこの20㎝の間には凝縮されています。もともとこのようなシンプルなアイアン手すりは隙間が多いため、高さ以外の恐怖心とどうバランスをとっていくかを重要視しています。
回り階段手すり高について
踊り場と異なる点は2段の段差 (この場合は) があると言うことです。例えばH800の手摺高で制作した場合に、当然斜めに手すりは上がっていくので握った位置で高さが変わるからです。5段目で手すりを握るとH800以上ありますが、6段目で手すりを握るともっと低い手すり高になります。
ただここで考える所は6段目に上がった時に手摺を握る頻度は少ない!当然6段目はコーナーになるため5段目から90度曲がる際には壁用の手すりを握る準備をするんです。ですので高さを設定する時に重視すべきポイントは、《全体的なバランスとコーナーでの高さ》を意識して制作します。
《全体的なバランス》は踊り場も同じですが、1〜4段目の高さと回り階段の高さとのバランスです。おおよそですが、1〜4段と回り階段・踊り場の高さの差は10㎝以下にしたいと考えています。階段自体の寸法によってもことなりますが、どうしても同じ高さで制作するとなると中途半端な位置でへの字におり、美しくなくなっていまうのです。
好みやこの方法もでもう少し美しくする方法はありますが、関節箇所が少ないほど美しい手すりと考えています。さらに10㎝以下の差は回り階段や踊り場には必要な差でもあります。それが《コーナーの高さ》です!
《コーナーの高さ》は本来アイアン手すりではなく壁だった場合、そこには壁用の手すりがつく所になります。基本的に壁用は落下とは無縁のものなので、使いやすさ重視で高さを設定します。(H750〜800程度が良いと思っています。壁用手すりの高さについては、またの機会に詳しく書きます。)その場合、コーナー部分はH900前後になることが多いんです。これを壁をアイアン手すりにした場合、このH900前後よりあまりにかけ離れた寸法で制作する事は、本来の建築においてバランスが悪くなると考えています。『本来の手すり高とも違う・スチール手すりだから特別?』などと言うことはやはり避けたいと思っています。(踊り場の場合は勾配の加減でH800でもコーナー高は大丈夫です。)
当然アイアン手すりと壁では異なるので、アイアン手すりの意味合いを踏まえ、毎回設定したい手すり高でのコーナー高、段数や使い勝手を考えよりベストな高さを選んでいます。
上記で説明したことを踏まえ、お客様のご希望をお聞きした上で【高さをデザインする】ことが重要です!せっかくコストがかかってもアイアン手すりにするなら、高さを考えて長く使える美しい手すりをお考えください。
追記〜「難しく説明していますが、高さはアイアン手摺を制作する上で当たり前で簡単な所です。」事前準備のためにお役に立つ記事でありますように。